希望の性質 ⑸　発達の先駆者

希望は発達・成長に欠かせない

人の発達段階を理論化した、エリクソンという著名な発達学者がいます。彼は発達のまさに基本に希望があるとしました。^[1]Oettingen, G., & Chromik, M. P. (2018). How hope influences goal-directed behavior. In M. W. Gallagher & S. J. Lopez (Eds.), The Oxford handbook of hope (pp. 69–79). Oxford … Continue reading^[2] See also Menninger, K. (1959). The academic lecture: Hope. The American Journal of Psychiatry, 116, 481–491. そしてエリクソンは健全な発達の場合、人生の一番最初に「基本的信頼」を保護者に対して抱くとともに、その果実として希望を得るとしました。^[3]See Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human … Continue reading それは続いて意志や目的を築いていくうえでの土台ともなるものと位置づけられています。このように希望は知識獲得以前の乳幼児から見られる基本的な資質であり、その後の成長のエンジンにもなっていると言えるでしょう。

幼児期に信頼から希望が生まれるにしても、カリーナらによると、大人にとっては、希望は自信や信頼よりももっと基本にあり、わたしたちの自信が傷つき、他者との信頼が損なわれても、命を維持していくには、希望が必要であると言います。^[4]Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human development. In … Continue readingそして、明白なことですが、希望を失うと鬱的な症状が出やすくなります。^[5]Oettingen, G., & Chromik, M. P. (2018). How hope influences goal-directed behavior. In M. W. Gallagher & S. J. Lopez (Eds.), The Oxford handbook of hope (pp. 69–79). Oxford … Continue reading

アベリルらによると、かつて希望が最も基本的な感情と考えられていた時があり、西洋文化の伝統で主要な位置を占めてきたということです。^[6] Averill, J. R., Catlin, G., & Chon, K. K. (1990). Rules of hope. Springer-Verlag Publishing.  90年の時点では、文化によって希望の捉えられ方は違いますが、アメリカでは韓国よりも希望をフィーリング（感覚）として捉え、韓国ではアメリカよりも理性的なものとして捉えています。