希望の性質 ⑹ 主体性を発達させる

目標を導く力がある

前述の著名な発達心理学者エリクソンによれば、希望は意志や目的、目標を導く力を持ちます。[1]Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human development. In … Continue reading 希望があるので目的、目標を持ち、意志を将来や成長に向けていくということですね。目的や目標とは行動を統率する働きをするものですから、それらの統率者をさらに導く希望というものは、人の心理の中でコントロールを司る相当な上層部にあると言えますね。

このことからすると、希望が弱い状態にある日本人は、目標を導いていく力、目標の発達、成長に向かう意志が弱いということになり、それは現状をよく説明しています。希望は主体性の発達を助けます。[2]Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human development. In M. … Continue reading 主体性の土台を与え、それを自己の中で統一させる力をもっています。[3]McGeer, V. (2004). The art of good hope. The annals of the American academy of political and social science592(1), 100-127. [4]McGeer, V. (2008). Trust, hope and empowerment. Australasian Journal of Philosophy86(2), 237-254. 反対に希望が弱ければ主体性が育ちにくいことになります。このように希望が主体性に深く結びついていることから、マクギアーは主体性とは想像的に自身の力を探索し、それを使うことだと言います。つまり希望に裏打ちされているので、主体性を発揮するときは対象から尻込みせず、それに対して自分に何かが出来るという想像的な信念のもとに、内にある力を探り、試し、動員しようとするというわけです。

主体性を引き出そうと苦闘しているのが現在の教育界であり、実業界ですが、こうして見ると内面に眠る資質や能力と深く関わっている、基幹の「希望」というものをどう育てるのかに焦点を当てることなく主体性が強く発揮されるということは、難しいと考えらます。

生徒自身が希望-主体性を輝かせるためには、育てる側が彼らの内面に眠る力を認め、尊重して信じ、引き出すことに時間をかけるのが不可欠でしょう。そうするためには、生徒を集団的に扱ってしまうのでは、限界があるわけです。なぜなら内面に眠る力に焦点を当てるというのは、個人を尊重する行為の大事な部分だからです。

参照

参照
1 Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human development. In M. W. Gallagher & S. J. Lopez (Eds.), The Oxford handbook of hope (pp. 9-26). Oxford University Press.
2 Callina, K. S., Snow, N., & Murray, E. D. (2018). The history of philosophical and psychological perspectives on hope: Toward defining hope for the science of positive human development. In M. W. Gallagher & S. J. Lopez (Eds.), The Oxford handbook of hope (pp. 9-26). Oxford University Press.
3 McGeer, V. (2004). The art of good hope. The annals of the American academy of political and social science592(1), 100-127.
4 McGeer, V. (2008). Trust, hope and empowerment. Australasian Journal of Philosophy86(2), 237-254.