内閣府のグラフからわかった日本の若者に顕著な項目の3番目は、自己肯定感が低いということです。
どちらのグラフにおいても、日本は欧米4か国と比べると、30ポイント近く低くなっています。後者では、明るさ、やさしさ、忍耐・努力、慎み深さ、賢さ、まじめさ、正義感、決断力、運動能力、容姿について、それぞれ、誇りに思わないと答えた人の数が、他国に比べて圧倒的に多いという結果でした。後者のグラフはそれを平均して表したものです。
これだけ多くの性質について同様の結果であるということは、全体的に自己肯定が低いと言えます。これは日本人が自分の肯定よりもむしろ、自己に批判的であるという、以前からの研究結果と合致しています。 [1]Hine, Kitayama, & Lehman (2001). Cultural differences in self-evaluation: Japanese readily accept negative self-relevant information. Journal of Cross-cultural Psychology, 32, 434-443. [2]Markus, H. R., & Kitayama, S. (1991). Culture and the self: Implications for cognition, emotion, and motivation. Psychological Review, 98, 224-253.
言い方を変えると、このデータから直接わかることは、自己の内に良い価値を見い出しにくいという状況です。これはもし単に「卑下してみせ」ているのではなく、本当に価値を見出せないでいるとすると、小さなことではありません。これも個人に焦点を当てている欧米とそうでない日本の違いがありそうだという、大くくりの見方はできそうですが、具体的にこういう心理の差に関わっている事柄は何なのか、さらに研究から詳しく見て行きます。
参照
↑1 | Hine, Kitayama, & Lehman (2001). Cultural differences in self-evaluation: Japanese readily accept negative self-relevant information. Journal of Cross-cultural Psychology, 32, 434-443. |
---|---|
↑2 | Markus, H. R., & Kitayama, S. (1991). Culture and the self: Implications for cognition, emotion, and motivation. Psychological Review, 98, 224-253. |