将来への希望:国際比較

内閣府のデータの確認から、話をスタートしていきたいと思います。さまざまなデータを見ていきますが、「はじめに」に書いたように、これはわたしたち日本人の批判が目的ではありません。克服するべきことを見出し、より良い人、より良い国民になるための現状把握をまずここでは進めていきたいと思います。

日本人の若者は将来への希望が弱いと言われますが、まず、それについてのデータから見ていきたいと思います。

一目して日本の若者の将来への希望が低いことがわかりますが、それにしても欧米諸国と比べて20ポイント以上低いということは見逃せません。これはさらに5年さかのぼった同調査でもほぼ同じ数字でした。この調査の対象は7か国の13~29歳で、各国とも1000人余りです。希望を持つべき若い世代が、明るい希望を持てていないという現実は軽く受け流すことができないものであり、こうなる深い理由があるならば、是非ともそれを突き止めたいものです。

欧米各国がこの指標において高いからといって、これらの国では閉塞感がないというわけではありません。資本主義、社会主義、共産主義において問題の山積する現代社会の閉塞感は、世界的な探究するべきテーマです。しかし日本においてこのデータに見られる問題は、間違いなく日本の閉塞感の大きな部分を占めているはずなので、まずはこの問題からとりかかっていきたいと思います。まずは日本文化についてのこの玉ねぎの皮をむいていき、その後にその奥にある世界共通テーマと向き合っていこうというわけです。

このように内閣府調査で日本の若人は他国に比べて将来への希望が弱いことが明確になりました。ここで同じ調査で問われた他の質問事項も検討しておきたいと思います。というのは、同じ人々を対象にいくつもの質問が投げかけられましたが、それらの多くで日本の若人は他国と違う傾向を示していたからです。その特徴をここにまとめてみたいと思います。将来への希望に対する質問に答えた同じ日本の若人の特徴を探ることで、希望が弱いことの背景について、何かヒントが得られるはずだからです。